兵庫県警の警部が捜査資料を紛失。飲酒のリスクを正しく認識することも必要です。

兵庫県警の警部が、無許可で捜査資料を持ち出し、飲酒後爆睡し、捜査資料を紛失したことが大問題となっています。

酒に酔って眠り込み、資料紛失というのは、本年6月にも同じ兵庫県で、尼崎市から業務委託を受けた業者の社員が、住民基本台帳などの情報が入ったUSBメモリを紛失したといった事案がありました。

どちらも同じ兵庫県の事案であり、今回の騒動を起こした警部は西宮市在住とのことで、西宮市に隣接する尼崎市の事案を目の当たりにして、何も学ばなかったのかと、尼崎・西宮両市の住民があきれているとの報道もなされていました。

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この両事案とも、紛失したのが重要な個人情報ということで、管理していた尼崎市・兵庫県警とも、個人情報の管理や持ち出しに関する規定を策定していたのではないかと思います。

尼崎市・兵庫県警に限らず、今のご時世、個人情報管理の重要性というのは、広く浸透しており、多くの企業で個人情報管理に関する規定を策定しているのではないでしょうか。

しかしながら、いくら規定を策定しても、それを遵守しようとする社員の意識を向上させないと、企業としての情報漏洩リスクを低減することはできません。

今回の兵庫県警の事案は、本来ならば許可をえる必要があったにもかかわらず、無許可で持ち出していたとのことなので、警察官にあるまじき遵法精神の欠如が招いたものといえますが、「遵法精神」というものは、企業の危機管理上、個人の資質に委ねていいものではありません。

会社情報や個人情報の管理といった、重要な事案については、規定を作成して周知したから社員が皆守るだろうと期待しているだけでは、後々情報漏洩という大きな痛手を受けることになりかねません。

社員には、情報漏洩は会社にどのような負の影響を及ぼすのか、そのような事態を招いた社員は、会社として厳罰に処すこともあるなど、規定を策定するだけではなく、定期的に社員の意識を向上させる取り組みが必要となります。

このような取り組みが適宜実施されていれば、情報漏洩に関するリスクを低減することが可能となります。

ただし、重要な個人情報などは持ち出さなければ漏洩するリスクはありませんが、今回の事案でみると、兵庫県警の捜査情報は、持ち出し禁止ではなく、許可制でした。

すわわち、許可を得れば持ち出し可能であったということに注意が必要です。会社によっては。業務を進めるうえで、どうしても重要な会社情報や個人情報を持ち出さなければならないこともあるかと思います。

その場合、持ち出した後の情報の管理は、持ち出した個人に委ねられるということが大きなリスクとなります。

今回取り上げた兵庫県の事案は、両者とも飲酒が絡んでいます。個人情報の取り扱いについて、きちんと教育されている場合、持ち出す社員の意識も高い可能性はありますが、飲酒が絡んだらどうでしょうか。

アルコール摂取のリスクは、喫煙ほど認識されていませんが、WHOによると、飲酒が原因で年間300万人が死亡しており、その数はエイズ、結核、糖尿病、 交通事故による死者数の合計を上回るとのことです。

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このように、過度の飲酒は健康を大きく損なう可能性がありますが、飲酒によるリスクはそれでけではありません。

今更ですが、アルコールは、脳の中でも理性を司る大脳皮質に作用するため、飲酒は理性の働きを鈍くします。

その結果、大脳皮質の働きにより抑えられていた、本能の近い部分の大脳辺縁系の活動が活発になることで、感情のままに振る舞いやすくなり、いわゆる酒に酔った状態をもたらします。

今回捜査情報を紛失した警部も、情報の取り扱いには十分注意を払っていたのではないかと思いますが、その意識も飲酒によって低下してしまいます。

退社後の社員の行動管理は難しいですが、飲酒というのは重大なリスクです。重要な会社情報や個人情報をどうしても持ち出す必要がある場合には、危機管理上の観点からは、「飲酒」は厳禁などの規定を設け、それを徹底させるといった取り組みを検討する必要があるかもしれません。

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