会社を守る
就業規則
会社を守る
就業規則
会社が新しく社員を採用すると、その採用した社員の労働条件を明示した契約書を締結します。
そのような契約は、会社と社員が個別に結ぶものであるのに対し、
就業規則は、事業場において勤務する従業員全体に適用されるものです。
会社は、就業規則を作成することで、職場全体のルールを一律で決めることができ、それを社員全体に適用することで、社員全体を効率的に管理することができます。
そのため、社員に多大な影響を及ぼす就業規則は、その作成についてルールが設けられています。
常時10人以上の社員を雇用している会社は、
所定の事項について
就業規則を作成し、
所轄労働基準監督署長に届出をする必要があります。
就業規則を変更した場合も同様の届出が必要となります。
●常時10人以上とは?
企業単位ではなく、職場単位で判断します。
就業規則に記載する所定の事項は、以下の3つに分類されます。
就業規則に必ず記載しなければならない事項
①始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇ならびに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
②賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算および支払いの方法、賃金締め切りおよび支払いの時期ならびに昇給に関する事項
③退職に関する事項(解雇の事由を含む)
退職に関する事項とは、任意退職・解雇・定年制・契約期間の満了による退職等労働者がその身分を失うすべての場合に関する事項をいいます。
定める必要はないが、定めた場合には就業規則に記載しなければならない事項
① 退職手当の適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算および支払の方法ならびに退職手当の支払時期に関する事項
② 臨時の賃金等(退職手当を除く)および最低賃金額に関する事項
賞与を支払うのであれば、そのことを就業規則に定めておく必要があります。
③ 労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
④ 安全および衛生に関する事項
⑤ 職業訓練に関する事項
⑥ 災害補償および業務外の傷病扶助に関する事項
⑦ 表彰および制裁の種類および程度に関する事項
社員を懲戒処分にするには、あらかじめ修行規則に懲戒の種別および事由を定めておく必要があります。
⑧ その他事業所の労働者のすべてに適用される事項
旅費に関する事項、休職に関する事項、福利厚生に関する事項はこれに該当します。
定めたとしても、就業規則に記載しなくてもいい事項
任意的記載事項であっても、就業規則に記載されたのであれば、最低基準効が認めらます。
「最低基準効」とは、就業規則で定める基準に達しない労働契約は、その部分について無効となり、この場合、無効となった部分は就業規則の定めによる基準どおりの契約となるというものです。
職場のルールブックである就業規則ですが、会社は一方的に作成することがでます。
ただし、就業規則はその内容により、
従業員の労働条件を幅広く規定するものであるため、
就業規則の作成または変更について、
会社は従業員の意見を聴くことが義務づけられています。
(労働者による最低限のチェック機能)
● 従業員の意見を聴くとは?
従業員の過半数で組織する労働組合があるときにはその労働組合、従業員の過半数で組織する労働組合がない場合においては、従業員の過半数を代表する者の意見を聴く必要があります。
意見を聴くとは、従業員の団体的意見を求めるということなので、同意をえたり協議をすることまでは要求されていません。
● 従業員が反対した就業規則の効力は?
当該規則に対して、全面的に反対するものである、特定部分に反対するものであるとを問わず、また、その反対事由のいかんを問わず、
その効力の発生についての他の要件を具備するかぎり、就業規則の効力には影響がありません。
原則、就業規則は使用者が一方的に作成できます。
就業規則は、それが合理的な労働条件を定めているものであるかぎり、会社と従業員との間の労働条件は、その就業規則によるという事実たる慣習が成立しているものとして、その法的規範が認められています。
就業規則に関しては、新たな就業規則の作成または変更によって、既得の権利を奪い、従業員に不利益な労働条件を一方的に課すことは、原則として許されませんが、
当該規則・条項が合理的なものである限り、個々の従業員において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されないとされています。
常時10人以上の従業員を雇用する会社は、就業規則を作成し、またはその内容を変更した場合には、所轄労働基準監督署長に届け出る必要がありますが、
この届出には、
労働組合または従業員の過半数を代表する者の意見を記した書面を添付する必要があります。
就業規則は会社が作成できるものですが、従業員の意見を聴き、所轄労働基準監督署長に届け出てもそれだけでは効力は発生しません。
就業規則の内容について、従業員に従わせる義務を負わせる以上、
その内容を従業員に周知することが、会社の最低限の義務とされています。
会社は、就業規則において従業員に対する制裁に関する事項を、
法令や労働協約などに反しない限り一方的に定めることができます。
ただし、この制裁が無制限に認められると、
多額の減給によって従業員の生活が脅かされるおそれがあります。
そのため減給額には一定の制限がもうけられています。
【減給の制裁】
- | 超えてはいけない額 |
1回の額 | 平均賃金1日分の半額 |
総額 | 一賃金支払期における賃金総額の10分の1 |
一賃金支払期における賃金総額とは、現実に支払われた賃金の総額です。
したがって、欠勤控除などがあった場合には、その控除後の額の10分の1が減給の限度となります。
1日に2回の違反行為をした場合はどうなるのでしょうか?
それぞれ1回あたりの違反に対する減給制裁が平均賃金の1日分の半額以内であれば、合計した減給額の総額が平均賃金の1日分の半額を超えてもかまいません。
一賃金支払期の間に何度も違反を繰り返す場合は?
減給の総額が一賃金支払期の総額の10分の1を超えることはできません。ただし、10分の1を超えた減額の部分は、次期の賃金支払期に繰り越すことが可能となります。
減給の制裁に当たる事例、当たらない事例
就業規則は、法令または当該事業場に適用される労働協約に反してはいけません。
会社が一方的に作成可能な就業規則の内容が、労働組合との合意に基づく労働協約の内容に反してならないことになっています。
従業員の一部が労働組合に加入している場合は、
どの範囲の従業員に、就業規則と労働協約の関係が適用となるのでしょうか?
労働協約の適用が、一部の従業員に限定される場合、その適用される従業員に関する限りにおいて、労働協約と就業規則との関係が問題となります。
就業規則の内容が労働協約の内容に反する場合においても、当該労働協約が適用されない従業員については、内容が合理的であれば、就業規則の規定がそのまま適用されます。
労働契約と就業規則との関係は、労働契約法第12条の定めるところによります。
労働契約法第12条では、「就業規則に定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による」と定義されています。(就業規則の最低基準効)
効力の優先順位
法令>労働協約>就業規則>労働契約
労働協約に1日の所定労働時間が7時間との記載があれば、就業規則に1日の所定労働時間が8時間との記載があっても、労働協約の適用を受ける従業員に対しては、7時間を超える所定労働時間の定めは無効となります。
所轄労働基準監督署長は、法令または労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができます。
変更命令は、就業規則を変更すべき義務を会社に課すにとどまるものなので、変更命令が出されても、それだけでは就業規則が変更されたことになるものではなく、
会社によって所要の変更手続きがとられてはじめて変更されたことになります。
就業規則と一口に言っても、その作成には様々な縛りがあります。
これら縛りをクリアしたうえで、
自社にとって必要な事項を過不足なく記載することで、
就業規則は自社を守るルールブックとなります。
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