ハラスメント対策

ハラスメントと一口にいっても、様々なタイプのものに分類されています。
会社を経営していくうえで、ハラスメント対策は重要です。

SNSが発達した現在、ハラスメント行為を受けた社員は、容易に自分の状況を世間に発信することができ、ひとたび社内におけるハラスメント行為が外部に発覚すると、世間から強い批判を浴びることになります。

ハラスメントの累計は、40種類以上にものぼると言われていますが、ここでは、社内で発生するリスクがある以下のハラスメントについて、それぞれ解説のうえ、その対策について考えてみたいと思います。

  • セクシュアルハラスメント
  • パワーハラスメント
  • マタニティハラスメント
  • ジェンダーハラスメント
  • 時短ハラスメント
  • アルコールハラスメント

ハラスメントの類型

セクシュアルハラスメント(セクハラ)

セクハラ

セクハラは、言わずと知れたハラスメントの代表例です。
男性から女性に対するものと思われがちですが、
女性から男性同性同士でも成立します

男女雇用機会均等法で、事業主にはセクハラ防止が義務化されています。

セクハラは、対価型と環境型に大きくわけられると言われています。

対価型セクハラ
加害者の意に沿わないことを理由にボーナスを減額するや、今の地位を引き下げるなどの脅しを加える行為です。
例えば、食事やデートの誘いを断ると、それを理由に賞与を減らすなどと発言するものです。

環境型セクハラ
読んで字のごとく、被害者の労働環境を著しく損なう行為です。
被害者の交際関係を周囲に言いふらすや、見たくもないヌードのポスターを貼るや、ヌードが掲載されている雑紙をこれみよがしにおくなどの行為が該当します。

パワーハラスメント(パワハラ)

パワハラ

パワハラとは、同じ職場で働く者に対し、
職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に
職務上必要と思われる範囲を超えて、精神的・肉体的苦痛を与える行為です。

ここで注意が必要なのは、
パワハラは上司から部下に対するものと思われがちですが、
年上で経験が長い部下から年下の上司へや、
職務上の上下関係を伴わない同僚の間でもパワハラは成立するということです。

パワハラには、以下6つの類型に分けられると言われています。

身体的な攻撃(暴行・障害)

精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言など)

人間関係からの切り離し(隔離・仲間はずれ・無視)

過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なほどの業務の強制、仕事の妨害)

過小な要求(業務上の合理性なく、経験や能力とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えない)

個の侵害(私的なことに過度に立ち入る)

2020年6月から、パワハラもセクハラ同様、大企業において発生防止義務が課せられます。

マタニティハラスメント(マタハラ)

マタハラ

マタニティハラスメントは、
女性労働者が妊娠・出産したことによる職場における嫌がらせ行為と提議されています。

マタハラは以下2つの類型に分かられるとされています。

制度利用への嫌がらせ型
女性労働者が産前産後休暇育児時間育児休暇等、出産や育児にまつわる制度の利用に際し、制度利用を妨害するような言動(忙しいのにそんな制度よくとれるなや、制度とるなら会社をやめろなど)により、女性労働者の就業環境を損なう行為

状態への嫌がらせ型
女性労働者の妊娠または出産に関する事由に関係する言動(この忙しい時期によく妊娠できるな妊娠したら会社は辞めるものだよ)により、女性労働者の就業環境を損なう行為。

ジェンダーハラスメント

ジェンダーハラスメント

ジェンダーハラスメントは、
「男らしさ」「女らしさ」などの固定的な性差概念(ジェンダー)に基づいた性差別です。

例えば、男なんだから根性を見せるのは当たり前だろや、
女の子なんだから愛想良くしてもらないと困るよなどの言動が
ジェンダーハラスメントに該当します。

ジェンダーハラスメントに関しては、セクハラのように法律で規制されてはいませんが、ジェンダーハラスメントを繰り返すことにより、セクハラを引き起こすことが懸念されます。

また、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー*)などの性的少数者に対する人権保護意識が高まっています。
そのような方々への差別的言動や取り扱いもジェンダーハラスメントとして認定される場合があります。

「男らしさ」「女らしら」といった観点だけではなく、個人の性に関する言動には細心の注意を払う必要があります。

「トランスジェンダー」:身体・戸籍上の性別と性自認が一致しない者(性同一性障害者)

時短ハラスメント(ジタハラ)

時短ハラスメント(ジタハラ)

時短ハラスメント(ジタハラ)は、
働き方改革が推進され、労働時間の短縮が推し進められるにつれ、耳にするようになったハラスメントの一種です。

労働時間が短くなり、休暇が増えることは、労働者にとって望ましことであり、政府もそれを奨励しているのですが、
会社として数字として上がってくる労働時間・休暇日数だけを管理していると
場では時短ハラスメントが横行しているとのことになりかねません

例えば、全員18時までに会社をでるようにとの決まりを作ると、これまで平均して19時まで業務の処理にかかっていたのであれば、表面上に現れる労働時間は短くなります。

しかしながら、業務量がかわらず、業務の効率化が進められていないなかで、1日の労働時間の上限を設定すると、業務は処理する必要あるのだから、社員は家や会社外のカフェ等で必要な業務を処理することになります

業務があるのに、労働時間の短縮を優先し、
その業務を会社でさせない
これが時短ハラスメントです。

労働者個人に対するハラスメントとの面もありますが、これを放置しておくと、未払い残業代の発生につなり、労働基準監督署の指導対象となる恐れがあります。

アルコールハラスメント(アルハラ)

アルコールハラスメント(アルハラ)

アルコールハラスメント(アルハラ)とは、
酒の席で、飲酒を断る者にむりやりアルコールをすすめて飲ませるハラスメントです。

会社業務と関係なさそうですが、例えば全員参加を強制する歓送迎会や、忘年会などは、業務の延長と見なされ、そこでのアルハラは職務と関係づけてみられる可能性があります。

日本は未だに酒の上の席や、酔ったうえでの行為に関して寛容な部分がありますが、
アルコールを無理矢理飲ませる行為は、急性アルコール中毒を引き起こし、命を落とすことになるかもしれない危険な行為です。

全員参加の歓送迎会等、会社行事と認定される場でアルハラを容認するようなことがあると、取り返しのつかない事態を引き起こし、会社の責任を問われる可能性があります。

ハラスメント撲滅のための対策

上記、記載のハラスメント行為は、どれか一つが発覚しても、会社を危機に陥れる恐れがあります。
以下にハラスメント行為撲滅に向けた対策について記載します。

1. ハラスメント防止教育の実施

まず、どのような行為がハラスメントに該当するのかについて、正しく社員に理解してもらう必要があります。

一度の説明では理解が進まない恐れがあるので、何度も繰り返しどのような行為がハラスメントに該当するのかを説明することが重要です。

冊子などを作成し、社員全員に配布したうえで、後日、その内容についての理解度をはかるテストを実施するなどの施策も有効です。

ハラスメント防止教育

2. ハラスメント行為者への厳罰化

ハラスメント行為は絶対に許さないとの強い決意の現れとして、ハラスメント行為をした者に対しする厳罰化方針を明確にすることも有効です。

ただし、これまでの処分との均衡が問われる場合があるので、
厳罰化をする際には、いつから厳罰にするのかを明確にし、社員全員に漏れがないよう、厳罰化の方針を伝えておくことが必要です。

ハラスメント行為者への厳罰化

3. 社内通報制度の構築と適切な運用

社内通報制度を構築し、
ハラスメント被害者についてはきちんと対応するとの体制を整えておくことが必要です。

ハラスメント行為を働いたものは、被害者からの通報で厳正に処罰されるとの流れがきちんと確立するこことがハラスメント行為の発生を抑止します。

また、社内通報制度の構築は、もしハラスメント行為が発生した際に、マスコミや行政など、外部への告発を抑制する効果も期待できます。

ただし、社内通報制度は、
通報者の情報はきちんと守り外部に漏らさない
事実関係を丁寧に調査しきちんと被害の事実を認定する、
ならびに被害者の誤解による通報により加害者とされた者が一方的に不利な状況とならないようにする
など、適正な運用ができるよう、通報制度の運用に携わる人材をきちんと教育しておくこと等、事前に十分な準備をしておくことが必要です。

社内通報制度

社員のハラスメント行為を防ぐためには、
その発生防止に向け、会社としてきちんとした体制を構築することが必要です。

HK人事労務コンサルティングオフィスでは、
今抱えているトラブルの解決に向け、全力で取り組むのは当然のこと、
これまでに培った豊富な経験をもとに、各会社にあったハラスメント防止体制の構築についてサポートすることが可能です。

具体的には、各社の状況を考慮したハラスメント防止体制の構築、社員に対する必要な教育研修の実施など、社内からハラスメント行為を発生させないための取り組みについて、全力で支援します。


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HK人事労務コンサルティングオフィスは
セクハラ・パワハラなどのハラスメント対策のサポート・支援を行っています。

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