トンガ沖海底火山の噴火とBCP(事業継続計画)

 トンガ沖海底火山の噴火に伴う津波により、日本各地の沿岸部で思いもよらなかったような被害が発生しました。

噴火

 噴火後、気象庁は日本への津波の到達はないとアナウンスをしていたため、特に何も備えをしていなかったところに、不意打ちのように津波が押し寄せてきたため、なすすべもなく被害に遭われた方も多くおられたようです。

 今回の津波発生のメカニズムは、大噴火に伴う「空振」によるものではないかと推定されています。これは気象庁も全くの想定外だったようで、日本に津波が到達してから津波警報・注意報を発令するという、ある意味一番重要な気象庁の役目を全く果たしていないとの事態を招きました。今回のトンガ沖海底火山の大噴火は、1000年に1度の規模とも言われており、本当の意味で「想定外」だったと捉えることもできますが、企業の危機管理においては、「想定外」の事態を無くすため、不断の努力が必要となります。

 「噴火」とのくくりで、今回のトンガ沖火山の噴火と、富士山の噴火を関連づける向きもありますが、関係のありなしについて、本当のところは誰も分からないのではないかと思います。したがって、「想定外」の事態を避けるためには、関係があるかもしれないと想定して、備えておくことが必要となります。

富士山

 実は、富士山は今回のトンガ沖海底火山の噴火と関係なく、火山学者の間では、いつ噴火してもおかしくないと言われています。もし、富士山が噴火すると、前回の噴火から大分間があいているため、噴火の規模が大きくなると推定されており、注意が必要です。

 富士山は内陸部にあるため、噴火による津波の心配はしなくてもいいですが、周辺地域では、流れる溶岩や火砕流に厳重に警戒しておく必要があります。そして一番警戒すべきは、火山灰です。風向きによっては、東京でも数センチの降灰が見込まれています。

 火山灰は非常にやっかいな性質を有しており、吸い込むと健康被害をもたらしたり、空港での離発着が不能になったりと、これだけでも相当な被害をもたらすことが想定されますが、一番の問題は通信インフラが途絶してしまうことです。

 このネット社会において、ネットやスマホ、会社の通信設備が全くつながらなくなることを想像してみてください。社会全体が混迷の極みに達するのではないでしょうか?

 もし、首都圏が火山灰により通信インフラが途絶したとしても、火山灰の影響がない首都圏以外の日本各地、ましては世界各国は通常の経済活動を行うことが可能です。そのため、被害にあった地域においては、いかに被害を最小限にとどめるか、いかに早く通常の事業活動に戻すことができるかとの観点から、BCP(事業継続計画)を策定することが重要です。

 このBCPの策定は、噴火災害に限ったことではありません。当然地震や台風などの災害について、災害ごとに被害状況を想定し、それに見合ったBCPを策定することが求めらます。また、コロナや新型インフルエンザなどの感染症に対するBCPを策定しておく必要があります。

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 BCPを策定することで、被害前より売上が向上するとのデータもあります。自社の状況にマッチした、詳細なBCPを策定しようとすると、時間も費用もかかるため、どうしても優先順位が下がってしまいがちですが、災害はいつ襲ってくるかわかりません。

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 新型コロナが蔓延し、社会経済活動が2年にわたって深刻なダメージを受け続けていることなど、誰が想像していたでしょうか?この新型コロナの蔓延については、事前の準備とはいかなかったところが多かったと思います。しかしながら、2009年に新型インフルエンザが流行した際に、BCPを策定し、テレワーク体制を整える、従業員が感染した際の出勤体制の整備などを実施していた会社は、ダメージを最小限に食い止めることができたようです。

 日本における活火山は富士山だけではありません。また、南海トラフを震源とする大地震の発生確率も高まっています。さらには、地球温暖化の影響により、日本に上陸する台風の勢力が強まってきているとのデータもあります。

 地震・台風・噴火・感染症など、それぞれの災害ごとにBCPを策定しておくことによって、たとえ「想定外」の事態が発生したとしても、新型インフルエンザに対する対応を、コロナにいかせた企業のように、最低限の被害で食い止めることができる可能性があります。

 被害にあってから後悔しても遅いので、まだBCPを策定していない会社においては、「備えあれば憂いなし」の精神で、多少コストがかかったとしても、早急にBCPの整備に取りかかられてはいかがでしょうか。

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