雇用調整助成金だけでは乗り切れない会社に対するさらなる支援策を

1月8日、東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県に2度目の緊急事態宣言が発出されました。
私が住んでいる大阪においても、後を追うように緊急事態宣言発出地域となり、3月7日まで期間が延長されるとのことです。

昨年、新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、売上が急減した会社をなんとか支えるべく、多くの会社の雇用調整助成金申請を代行してきました。

昨年4月以降は、緊急対応期間として、申請に必要な手続が簡素化され、また会社都合で解雇をしていない中小企業においては、助成率100%、つまり1日あたりの上限(15,000円)はあるものの、休業中の従業員に支払った賃金は全額補償されるとの制度となっています。

雇用調整助成金

この国の柔軟な対応により、私がお手伝いさせていただいた会社もなんとか従業員を解雇せず、ここまで持ちこたえることができました。

また、支払った分が全額補填されるので、休業補償として、これまで支払っていた賃金を減額することなく、休業前と同じ額を支払っている会社が大半だったので、従業員の方も助かっていたと思います。

この緊急対応期間ですが、本年2月が期限とされていましたが、現下の状況に鑑み、さらなる延長が検討されているとも報道されています。

この延長は、大変喜ばしいことなのですが、
ここまでコロナの影響が長引くと、
雇用調整助成金では持ちこたえることができない会社が出てきてしまいました。

年金・健康保険には減免・免除がない

 雇用調整助成金は、休業中の従業員に支払った手当を補償する制度ですが、
会社が給料や休業手当として従業員に支払ったものには社会保険料がかかります

とくに大きいのが厚生年金保険料と、健康保険料で、
大阪においてはこの2つの保険料を合わせると、
28.5%(介護保険料は含まない)にまで達します。

従業員に35万円の賃金を支払っているのであれば、
これら2つの保険料は96,968円 になります。

労使折半なので、半額は従業員の給料から天引きして、会社分と合わせて納めるのですが、この金額が経営を圧迫しはじめてきました。

健康保険

 私がお手伝いさせてもらっている会社には、演劇やイベント関係など、未だに事業を再開できず、コロナが蔓延しはじめた3月以降、収入がこれまでゼロという会社が少なからず存在します

従業員数名の小さな会社にとって、毎月納める社会保険料の金額はばかになりません。

これまで毎月従業員には従来どおり賃金をお支払いし、社会保険料を納めてきたのですが、
12月でもたなくなり、雇用調整助成金の申請を断念するところまで追い込まれました

 現在は、労働者個人が申請する休業支援金に切り替え申請しているため、従業員の方の生活はなんとか維持できてはいますが、これまで満額給料を支給されていたので、毎月の収入としては減額です。

 今回のコロナ禍において、様々な助成制度や給付金制度が設けられてきましたが、社会保険料や税金については、支払いの猶予はあっても、その減免や免除される仕組みはほぼありません

昨年1人あたり10万円の定額給付金が支給された際も、同じような時期に納める必要がある固定資産税や自動車税の支払いに当てられた方も多く、これらの減免を求める声も上がっていました。

 大阪は、緊急事態宣言が3月まで延長される見込みです。
飲食業だけではなく、コロナによる影響を受ける方を幅広く援助できるよう、税金や社会保険料の観点からも減免や免除など、何らかの施策を検討していただきたいと思います。


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